こちらの英語記事の翻訳です。
前回の二つの記事では、機械設計ツールの概要と使い方について解説しました。今回の最後の記事では、技術者によく使われている機械設計ツールをご紹介します。
数多くの機械設計ツールが市場に存在していますが、最近よく使われているのは、Solidworks、AutoCAD、Pro/ENGINEERそしてSpaceClaimの4種類です。
これらのソフトは、機械設計やその他の設計において、技術者たちに幅広く使用されています。そして、今回する4種類のソフトのうち以下の3種類は、国際的な認定資格も発行しています。
- SolidWorks:CSWP (Certified SolidWorks Professional)
- AutoCAD:Autodesk Certification
- PTC:Pro/ENGINEER Official professional certification program
それでは、4つのソフトを簡単にご紹介いたします。
Solidworks
SolidWorksは、世界最初のWindows用3DCADシステムとして開発され、近年のソリッドモデリングおよびサーフェスモデリングの礎を築いてきました。便利で使いやすく革新的な技術によって、技術者たちに根強く支持されています。また、SolidWorksを用いて作られたデザインは、自由自在に修正することができ、部分設計・組み立て設計および作図機能は非常に使いやすいものとなっています。
SolidWorksのデモ動画はこちらです。
AutoCAD
AutoCADはもともと2Dでの作図に使われており、精密な作図機能・設計書を作る機能しか持っていませんでした。後に、3Dでの設計機能も加えられました。最も初期に開発された2D設計ツールの一つであるため、AutoCADの.dwgというファイル形式は、2Dでの作図において標準規格の一つとなっています。AutoCADは、完璧といっても差支えないほどのレンダリング機能や画像編集機能を持っており、幅広いハードウェアデバイスや開発環境に対応しています。処理速度が比較的遅いため、実際の精細度で描画を行うためには、AutoCAD内で様々なテーブルを開く必要があります。
AutoCADのデモ動画はこちらです。
Pro/Engineer
Pro/Engineerは、パラメトリックモデリングを導入した世界初のソフトであり、3Dモデリングソフトウェアの中で重要な位置を担っています。パラメトリックモデリングとは、CADで設計している製品が、各部位の長さなどの空間的な情報だけではなく、全体的な寸法などについての拘束条件を持っており、一部の寸法を変更するだけで、全体の形状を上手くCADが調整してくれるような機能を指しています。
Pro/ ENGINEERは、上記の機能を実現するために、単一のデータベースを用いています。PRO / Eはフィーチャ選択メソッドに基づいており、コンカレントエンジニアリングを実現するために、全体の生産・設計プロセスを統合することができます。
Cf. コンカレントエンジニアリング
CAD・CAE・PDMなどのシステムを通じてデータの共有・共用を行い、例えば意匠デザインと構造解析、強度計算などを同時並行して作業することで、製品品質の向上と同時に開発期間の劇的な短縮を目指すこと。
Pro/Engineerのデモ動画はこちらです。
SpaceClaim
SpaceClaimは、世界初の3D設計システムです。パラメトリックなCADシステムとは異なり、作図の専門知識が無くても、直感的な方法でモデルの編集を行うことができます。次に挙げるような数種類のモデリング機能しか搭載していないものの、設計および編集を行うには十分です。ダイレクトモデリング機能では簡単に設計・編集を行うことができます。マージ機能では簡単に様々なモデルやセグメンテーションを結合することができます。フィル機能では様々な特徴を簡単に付加・除去することができます。
SpaceClaimのデモ動画はこちらです。
以下は、これまで紹介した4種類のソフトに対して感じた印象です。
AutoCADは未だに2D機能に力を入れており、3D設計業界で必要とされているいくつかの機能も欠けていることから、他の3種類のソフトウェアと比較すると、3D設計機能は不十分と言えます。
SolidWorksのユーザーインタフェースは、より人間の感覚に近く、使いやすいものであり、膨大な部品の集合を扱うには最も効果的と言えるでしょう。また、AutoCADのシミュレータも提供しています。欠点としては、ユーザーに優れた空間認識能力が求められること、2D図がしばしば間違った形で出力されること、そしてハイスペックなコンピュータが必要である点が挙げられます。
Pro / Engineerは、完全かつ多くのモジュールを搭載しており、強力な作業環境を持っています。欠点としては、ファイルの構造を明らかにするために、ユーザーにきちんとしたファイルの管理能力が求められる点です。
SpaceClaimは、シンプルかつ便利で使いやすく、CADソフトを使用した経験が無くても、簡単に使い始めることができます。また、3DCADツールの中で、マウスジェスチャー機能に対応する唯一のソフトでもあります。開発されてまだ日が浅いため、他の3種類のソフトと比較すると、機能がまだ不十分である印象を受けます。
本記事で紹介した4つのソフトの中で、個人的にはSolidworksかSpaceClaimを使うことをお勧めします。使いやすさに加えて、モノづくりの世界で幅広く使われていることが挙げられます。とりわけ、CADの世界観を大きく変えたSpaceClaimのダイレクトモデリング技術は、多くのCAD開発企業が重要なものとして認識しています。
Solidworks 公式サイト: http://www.solidworks.com/
AutoCAD公式サイト: http://www.autodesk.com/products/all-autocad
Pro/Engineer公式サイト: http://zh-cn.ptc.com/
SpaceClaim公式サイト: http://www.spaceclaim.com/