この機能は、基板設計に用いている部品の値を用いて計算を行うものです。Menu > Tools > Design Calculatorsから利用することができます。この機能では、加減乗除といった基本的な計算に加え、関数電卓のような階乗機能や対数機能も利用することができます。
この関数電卓機能は、ToolsのDesign Calculatorsのタブ上にあります。Scientificタブを選択すると、以下のようなウィンドウが現れます。
基本的な用法
この計算機は、通常の携帯式計算機と同じように動作します。
- 数・符号・小数点ボタンを用いて数字を入力します。数字は計算機上部にある欄内に表示されます。数字を入力し間違えた場合はBackspaceを押してください。
- 演算ボタンをクリックします。+は加法、-は減法、/は除法、*は乗法をそれぞれ意味します。
- 計算機に次の数字を入力します。
- 全ての数字を入力し終えるたら演算ボタンを押してください。
- 計算結果の表示は=をクリックします。例えば、4 + 5 + 2 * 3 =と入力した場合、33という結果が表示されます。
同様に、キーボードから直接数字や演算記号を入力したり、Windowsのショートカットキーを利用しできるほか、DesignSparkPCBや他のアプリケーション内から数字をカット/コピー/ペーストすることもできます。
欄内の数字を消去するにはC (Clear)ボタンを、現在までに行ってきた演算の記録を全て消去するためにはAC (All Clear)ボタンを用います。
関数演算
数字ボタンの右側に並んでいるボタンは、入力した数字に対して演算を行うためのものです。関数を選択するだけで計算を行うものもあれば、さらに他の数字を入力しなければならない関数もあります。PIを押すと欄内に円周率が入力され、次の演算を行うことができます。三角関数では度数法を用いて演算を行います。
例:
2を押した後に"x^3"を押すと、2を3乗した8という結果が出力されます。
5, "x^y", "4", "="を続けて入力すると、5が4乗された625という結果が出力されます。
"6", "4", "nth root", "3", "="を続けて入力すると、64の3乗根として4が出力されます。
"4", "5", "tan"を続けて入力すると、tan45の結果として1が出力されます。
三角関数
"Inv"という項目をチェックをすると、三角関数機能が逆関数、すなわちarc関数として動作します。例えば、"Inv" "1" "tan"を順番に入力するとarctan1を意味し、tanの値が1になる角度として45度が出力されます。
"Hyp"という項目にチェックを入れると、三角関数機能が双曲線関数として作動します。例えば、"Hyp" "1" "tan"を順番に入力するとhyperbolic tangent 1を意味し、0.761594(pi/4)が出力されます。双曲線関数の逆関数を計算するためには、"Inv" と"Hyp"の両方をチェックします。
弧度法における角度がわかっており、三角関数機能においてその値を使いたい場合は、Conversion Calculatorを用いて度数へと変換した後、欄内に変換後の値を貼り付けて演算を行うことができます。
対数関数
"log" は10を底とする対数として、"ln"は自然対数として機能します。"Inv"の項目をチェックすると、"ln"が指数関数として動作します。
メモリ機能
Memory欄にあるボタンによって,メモリ領域に数字を保存し,計算に必要な時に呼び出すことができます。最初に、5箇所のメモリ領域のうち利用する1箇所を選択し、各メモリボタンによってそれぞれの操作を行います。
- MS (Memory Store):欄内の数字を選択した領域にコピーする
- MR (Memory Recall):メモリ領域の数字を欄内に呼び戻す
- MC (Memory Clear):現在のメモリ領域を0に設定する
- M+(Memory Add):選択したメモリ領域に欄内の数字を加える
- M- (Memory Subtract):選択したメモリ領域から欄内の数字を減算する
統計機能
Statistics欄にあるボタンによって、連続した系列としてデータを入力し、データの基本的な統計量を計算することができます。
- 統計モードを開始するためには、Sta を押してください。このモードでは、Statsという文字が欄内の左側に表示され、全ての統計機能を利用することができます。
- 欄内に数字を入力し、Datを押してそれらをデータリストに加えます。データ系列のそれぞれの数字に対して同じ動作を繰り返します。
- 全ての数字を入力した後、以下のような統計処理を行うことができます。
- Sum:データの総和を求める
- Ave:数字の平均を求める
- SD:データの標準偏差を求める
- S: データの標本標準偏差を求める
4. 統計モードを終了するためにはStaを押します。データは消去され、次回また初めから統計モードを利用することができます。
部品データの設計
この機能は、PCB上で設計を行なっている際に利用することができます。Item Data欄には、選択した部品の大きさや位置などが一覧として表示されます。この値を利用するためには、リストに含まれている項目をクリックし、To Memoryボタンによって現在のメモリ領域に選択した値を保存するか、To Registerボタンによって計算機上部の欄内に数字をコピーします。
Length UnitsとPrecisionによって、リストに表示されている項目の表示方法を変更することができます。
違う部品の情報を表示させるためには、カーソルをダイアログの外に出すと、計算機のマークがついたカーソルが現れます。この状態で、設計図から部品を選択します。シフトキーを押した場合は部品の全体が選択され、コントロールキーを押した場合は部品ではなく図面上の点が選択されます。設計図が見にくい場合は、ダイアログの右上にあるHideを押すと、選択が完了するまでダイアログが見えなくなります。Escかダイアログの右上にある×ボタンを押すと、ダイアログが終了して通常の選択モードへと戻ります。
二点間の大体の距離を測定するためには,picking機能を利用します。設計図内で二点を選択すると,リスト内にPicked DistanceおよびPicked Offsetという項目が表示されます。Picked Distanceは二点間の直線距離を、Picked Offsetは二点のXおよびY座標を表しています。コントロールキーを押し続けると、部品を選択することなく位置を選ぶことができます。この選択した点は格子状にあるため、Hキーを押してグリッドを設定します。
参考
Help上の以下の項目も参考にしてみてください。
- Conversion Calculator
- Heat Sink Calculator
- RLCF Calculator
- Track Impedance Calculator
- Track Width Calculator
- Via Resistance Calculator